■食品ロスのこと!

捨てられる食材に秘められた可能性

日本で年間約500万トンも捨てられている食品

今日は”食”にかかわる仕事をしている者としての想いを綴らせていただきます。皆さんは、毎日食べている食事や食品についてどれくらい考えていますか? 言うまでもなく、私たちが口にする食べ物はたくさんの人の手によって作られています。ちょうど今、スーパーや量販店の店頭に並ぶお米が少なくなってしまい、困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?しかし、その一方で、まだ食べられるにも関わらず捨てられてしまう食品もたくさんあります。いわゆる「食品ロス」と呼ばれるもので、単純に”もったいない”では片付けられない深刻な問題となっています。

日本では、年間約472万トン(令和4年度推計)の食品が廃棄されています。これは、ごみ収集車約1400台分に相当する膨大な量です。なぜ、これだけの量の食品が捨てられてしまうのでしょうか?

「食品ロス」については消費者庁のホームページに詳しく説明されていますので、是非一度ご一読ください。

https://www.no-foodloss.caa.go.jp/whats.html

なぜ食品ロスが発生するのか?

食品ロスが発生する原因は様々です。

  • 生産段階形が不揃いだったり、大きさが規格外だったりするものが廃棄されることがあります。
  • 流通段階小売店への輸送中に傷んでしまったり、売れ残ってしまったりすることがあります。
  • 消費段階購入したものの食べきれずに捨ててしまったり、賞味期限内に食べられなかったりすることがあります。

特に、消費者の「見た目」へのこだわりが、食品ロスの一因になっていると言われています。スーパーマーケットに並ぶ野菜や果物はどれも形が整っていて色も鮮やかですが、これは消費者の購買意欲を高めるための演出でもあります。しかし、形が少し歪んでいるだけで味は変わらないものもたくさんあります。

採れたての野菜!残さず美味しく召し上がっていただきたい!

生産者の思いと、消費者の選ぶ基準

私の仲間の生産者も自分たちの作ったものが少しでも多くの人々の食卓に並ぶことを願っています。しかし、市場に出回るためには、厳しい規格をクリアしなければなりません。「食品ロス」への関心が高まった現状でも、規格外の物は、残念ながら廃棄される運命を辿ることも少なくありません。

一方、消費者は、見た目やブランド(産地や銘柄)、価格などを基準に商品を選びがちです。しかし、本当に大切なのは、見た目ではなく味や栄養価ではないでしょうか?そうです、「美味しくて体に良いもの」だと思います!もちろん、生産者や自治体などが協力をして地元の生産物をブランディングすることは悪いことではありません。長い月日をかけて品種改良したり、消費者に『買いたい!』『食べたい!』と思ってもらえるパッケージで販売することも大切だと思います。

賞味期限と、捨てずに再利用する工夫

食品ロスを減らすためには、消費者一人ひとりの意識改革も不可欠ではないでしょうか?。賞味期限はあくまで目安であり、必ずしもその日に食べなければいけないわけではありません。もちろん、食品の状態をしっかり確認することが大前提ですが、食べられるものは最後まで美味しくいただきましょう。また、残念ながらスーパーマーケットなどで見かける、陳列されている商品を手前から取らずに少しでも賞味期限の長い商品を購入しようとしていると思われる光景です。また、野菜売り場、特にキャベツなどの葉物の陳列棚の前には、当たり前のように大きなゴミ箱が設置されていて、表面の葉を捨てている光景も目にします。農薬などでの汚染や土汚れを過剰に気にされる方の気持ちも分からないではないですが、「残留農薬」については国が定める厳しい検査などをクリアした物が並んでいますし、土汚れも水道水で洗えば簡単に落ちる程度のものです。

また、食べきれない食材は、工夫次第で様々な料理に再利用することができます。例えばベターデイズでは仲間の生産者との共同開発商品として、アスパラを収穫した後に残る「切り下」を活用した【北海道中華まんシリーズ:アスパラあんまん】を製造しています!(ちょっと宣伝になってしまいました!)

北海道中華まんシリーズ 「アスパラあんまん」!

商品開発と、新しい価値の創造

食品ロスを減らす取り組みは、生産者や我々のような事業者にも求められています。例えば、規格外の野菜を使った商品開発や、フードロス削減に向けた取り組みを積極的に行っている企業も増えてきています。

ベターデイズの取り組み:「アスパラあんまん

私たちが開発・製造・販売している”北海道の中華まんシリーズ”に、十勝幕別町産のアスパラの切り下を使った「アスパラあんまん」があります。この商品は、これまで捨てられることが多かった切り下をピューレに加工して、十勝産大豆(白花豆)の白餡と合わせることで絶妙の風味が味わえる「アスパラ餡」を開発して、新しい価値を生み出すことができました。こちらの開発秘話はまた別の機会にこちらのコラムで綴らせていただきます!

アスパラピューレと十勝産小豆(白花豆)の白餡で創ったオリジナルの「アスパラ餡」!

食品ロス対策への取り組み

食品ロスを減らすためには、私たち一人ひとりが意識を変えることが大切です。

  • 残さず食べる料理する量を調整したり、食べきれない場合は保存方法を工夫したりしましょう。
  • 必要な分だけ買う購入する前に冷蔵庫の中身を整理し、必要なものを必要なだけ買いましょう。
  • 形よりも味形が不揃いでも、味は変わらないことを理解し、積極的に購入しましょう。

もちろん、お仕事や育児などで毎日お買い物に行くことが出来ない方々や食材をまとめて購入することで食費をコントロールされている方々もいらっしゃいます。それも大切な生活の知恵であり工夫だと思います。そういった状況も踏まえた上で考えていかなければならないのが「食品ロス」の問題だと思います。ですから「食品ロス」は私たち一人ひとりの問題であり、同時に社会全体で解決していくべき課題でもあります。食品を無駄にすることは単に捨ててしまう食材のことだけでなく、現代の様々な問題にもつながっています。この話題はまたあらためて違った視点でもお話ししたいと思います。